「はだしのゲン」に込められた反戦メッセージを“不都合”と考える人たちがいる?
広島市教委が、現在平和教育に使っている教材において、来年度から「はだしのゲン」を他の絵本などと差し替えると発表した。もちろん広島の学校から「はだしのゲン」をみな廃棄するというような話ではない。だから鬼の首を取ったように騒ぐほどのことはないかもしれないが、少なからず反響は大きかった。
まず差し替えの理由がよくわからない。現在小3の教材には、父親を助けるところ、(父親が反戦を唱えたために非国民扱いされ、仕事もなく)家族を助けるために町で浪曲を歌い金を稼ぐところ、母親に精をつけさせようと鯉を盗むところ、が使われている。
「浪曲は児童になじみがなく、鯉を盗んでもいいという誤解を与える」おいおいそんなバカな。なじみがなければ説明すればいい。それが授業ではないのか。じゃあ世界史なんかなじみのないことだらけだぞ。鯉を盗む行為に関しては皆で話し合えばいい。そここそ大事なのではないのか。
「漫画では被爆の実相に迫りにくい」ともあった。いや「はだしのゲン」ほどリアルに描かれたものはないだろう。体中に割れガラスが刺さったままさまよう人。体中の皮膚が剥がれ指先からその皮膚が垂れ下がったまま歩く人。むしろトラウマになりそうな描写で、以前は残酷すぎると閲覧禁止になりそうになったこともあるぐらいだ。