無欲と捨て身が混じり…とにかく明るい安村の「笑われる芸」に漂う奇妙な哀愁
以前から安村のネタを見ると、「泣ける」と最大限の評価をしていたマツコ・デラックスは「安村ちゃんって世界で一番ウケない国、日本なんじゃない?」(日本テレビ系「マツコ会議」23年5月13日)と笑う。
チョコレートプラネットの長田が安村について「自分の魂を削って、やってる感が伝わる」「必死になんとかしようと、もがいている姿に芸人として心打たれる」と安村を評すと、マツコも深く同意。その上で、かつては「『笑われる芸』がメインだった」が、今の時代は「『笑わせてる』が基本」と分析し、「懐かしさ」を感じさせる安村の芸風に「笑われるのって、笑わせるのと同じくらい才能」と賛辞を送った(同前)。
そんな安村は「将来の夢とか目標がひとつもない」と吐露する。「俺の実力からしたらもう十分。だからその先どうこうがまったくない」と現状に満足しているのだと(同前)。その将来に対する無欲さと、その場、その場で必死にもがく捨て身の姿とが合わさり、奇妙な哀愁となって、安村の芸は見ている者の胸に響くのではないか。
「ブリテンズ・ゴット・タレント」でのパフォーマンスを見て、早速ルーマニアからもオファーが届いたそう。いよいよ、世界中で彼の勇姿を見せるのかと思いきや、安村は断ったという。「一緒ですよ、イギリスと。何をするんですか、ルーマニアで。お土産も何を買えばいいか分からないし」(「ワイドナショー」=前出)と笑った。