アローナイツのボーカル木下あきらさん「リーダーほか2人のメンバーも亡くなり、あとの2人はどっかに行っちゃった」
木下あきらさん(「アローナイツ」のボーカル/74歳)
1975年、ムード歌謡「中の島ブルース」を歌いヒットさせた男性6人組「秋庭豊とアローナイツ」。「内山田洋とクール・ファイブ」との競作だったが、本家はこちらだった。ボーカルの木下あきらさん、今、どうしているのか。
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木下さんに会ったのは、JR川崎駅から徒歩1分の「川崎日航ホテル」20階の控室。ある女性歌手のディナーショーに、メインゲストとして呼ばれ、これから歌うのだという。
「この2月に新曲『愛終/ひとこと』を出しまして。CDを出すのは5年ぶり。コロナでずっと仕事ができず、年も年だし、もう出すことはないだろうと思っていたら、徳久(広司)さんから久しぶりに『歌ってよ』と言ってもらってね。『あきらめないで』『献身』とか、『アローナイツ』のヒット曲はほとんど徳久さんが書いてくださったご縁があるんです。『愛終』は泥くさい昭和演歌のにおいのする歌ですよ」
木下さん、まずはこう言った。ここ5年はどうしていたのか。
「どうって、普通の生活(笑)。50代過ぎてから勉強して国家資格を取り、介護の会社を経営していた女房が、5年前に卵巣がんで亡くなってね。救急車で運ばれたときはステージ4で手遅れだったから、手術はしたけど、ほとんど看病する間もなく亡くなっちゃった。介護の会社は人に譲り、長男と2人暮らしになったから、食事作って、掃除して、洗濯して……」