脚本家・内館牧子さん(67) 心臓弁膜症
実は、手術は1回で済まないと、前もって言われていました。それで東京で3カ月、体力を回復させた後、再び岩手医大に1カ月入院したんです。東京の病院とは縁がなかったし、医師の力もある上、あそこは居心地がよかったんです。
2度目の入院前は、自宅ですべての連載の1カ月分をまとめて書きました。それを前もって出して、決して入院とは言わなかった。「湯治で東北に行く」と言っておいたの。再入院で再手術なんて言うと絶対に悪い噂が流れるから(笑い)。
その手術もうまくいって、後遺症もなく、仕事にもすぐに復帰しました。1度目の入院中に見た夢がヒントになった作品もあります。変な夢をたくさん見たんです。“これは書き留めなくては”と紙1枚持てない筋力でも震える字で書き残した。そう、転んでもタダでは起きないのよ(笑い)。
あれから8年。今は1カ月に1度の血液検査、半年に1度のエコー検査、1~2年に1度のMRI検査をしていて、ワーファリンという血液をサラサラにする薬を毎日飲んでいます。よく「一生薬を飲まなきゃならない」と落ち込んでいる人がいますが、その考え方は変じゃないかしら。「一生薬を飲んでいれば普通に暮らせる」ってことですよ。こんな簡単なことはないと思いますね。