元横綱・芝田山康さん(53) 睡眠時無呼吸症候群
医師に「これでよく相撲を取っていましたね」と驚かれた
「睡眠時無呼吸症候群」という病名は、今でこそ誰もが一度くらいは耳にしたことがあると思いますが、私がそう診断された1989年当時は、世間にまったく知られていない病気でした。
診断してくださったのは日大板橋病院・呼吸器内科の吉澤孝之医師です。先生にとっても、睡眠時無呼吸症候群を診断した最初の患者が私だったんじゃないかな。そのくらい認知度は低かったと思います。
病気の兆候は、大関に昇進した頃から始まっていました。周りから「おまえはよく寝るな」と言われるようになったんです。自覚症状としても、移動中の車の中や会話中など、ふとした時にウトウトしているのはわかっていました。でも、周りの話はちゃんと聞こえている。問いかけに対して返事もできたし、車では「次を曲がって」などの指示もしていました。というのも、脳は起きていたからです。ただ、自分のいびきが聞こえたり、片頭痛などの症状もありました。
そんな状態の中で横綱の地位を勝ち取ったのですが、それからがさらに厳しかった。プレッシャーが大きかったこともあり、体調不良はますます顕著になりました。朝はだるく、昼は眠い。