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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

治療の仕事の両立<3> 治療法に迷ったら放射線医に聞く

公開日: 更新日:

 がん患者は、3割が64歳以下の現役世代。そうすると、看病する人も現役世代が多く、共働きだと、看病も大変です。それで入院中の患者はひとりになって、症状が悪化したときなどに気持ちが沈みやすく……。

■なるべく入院せず

 自殺を防ぐ上で、患者を孤立させないように治療と仕事の両立を考えることはとても大切です。その点、放射線は通院治療が基本ですから、入院して孤立するリスクは少ない。それでいて、頭頚部、食道、肺、乳腺、前立腺、子宮頚部など多くのがんで、治療成績は手術と同等です。

「がん対策に関する世論調査」では、治療と仕事の両立が難しい理由として約22%が「職場が休みを許すか分からない」を挙げています。入院を伴わない治療を選択することは重要です。

 私が支援する都内の病院は、午後10時まで放射線治療が可能。治療後に一杯飲んで帰る方は珍しくありません。抗がん剤治療も同様で、通院で受けられたり、週末に抗がん剤治療を実施するクリニックもあったりするのです。

 治療法や病院を吟味すれば、両立が難しいという現状でも、決して無理ではありません。そのためには、放射線科医にセカンドオピニオンを求めるといいでしょう。放射線科は血液のがん以外、すべてのがんの治療に当たる“がんのエキスパート”で、すべてのがんのすべての治療に精通していますが、外科医がカバーするのは診療科のがんだけですから。

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