慢性骨髄性白血病<2>「私の人生は38歳で終わったなと…」
本心は治癒して元に戻りたいと思っていたが、子どもたちの人生を優先すると10年間生きられる可能性が高い方法を選ぶことにし、医師と相談した結果、久田さんは「インターフェロン」を選択した。
9月3日に入院し、腹の上から注射器で毎日、「インターフェロン」を注入した。副作用で高熱やだるさに悩まされたが、2週間で退院。1週間、自宅で静養した後、職場に復帰した。
■1本1万円の注射を7カ月間で210本打つ
医師の指示に従って毎朝、自分で腹に「インターフェロン」を打つ。それを7カ月間続け、「いつも二日酔いになっているようなだるさ」だったが、もうひとつ不安があった。高価な薬品代の支払いである。
1本1万円。7カ月間で210本打ち、1カ月間の支払いが約10万円(3割負担)になった。そのうち、通院間隔は2週間に1回、やがて1カ月に1回と回数を減らす。
「この時期に私は、横浜から名古屋支店に戻りました。病気を思うと憂鬱になりますから、新しい研修の仕事に没頭したのです」
その前年に薬品メーカーの大手「ノバルティス」(スイス)が「慢性骨髄性白血病」に効果がある新薬「グリベック」を発売していた。久田さんはこの新薬に期待する。