高血圧の新治療「腎デナベーション(除神経)」の実力
「腎デナベーションでは、大腿部あるいは手首からカテーテル(細い管の医療器具)を入れ高周波や超音波で腎動脈周囲の交感神経を焼灼します」
■一度の治療で効果継続
これまでの研究では、薬剤を3剤服用しても収縮期血圧(上の血圧)が160㎜Hg以上の人、いわゆる薬剤治療抵抗性高血圧を対象にした臨床試験がある。シャム手術(見せかけの手術)を施行した群と厳密に比較した場合、腎デナベーション群で診察室血圧の低下度に有意な差は見られなかった。
しかし、薬物治療が効きにくい早朝や夜間の血圧が有意に低下し、早朝、夜間ともにピーク時で約5㎜Hg低かった。さらに睡眠時無呼吸症候群(SAS)による高血圧でも有意に差が出た。SASでは、ピーク時で8・8㎜Hgの差があった。
「早朝・夜間高血圧やSASは交感神経の活発化と関係が強いため、腎デナベーションがよく効くと考えられます」
また、世界的には未治療の患者を対象にした臨床試験も実施。診察室内血圧150㎜Hg以上、24時間血圧140㎜Hg以上の人を対象に、日本、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアで行われた。昨年8月のヨーロッパ心臓病学会で発表され、同時に「ランセット」(世界5大医学雑誌のひとつ)にも掲載された。