高血圧の新治療「腎デナベーション(除神経)」の実力
「本研究では、3カ月後の24時間血圧の変化は、収縮期血圧がシャム手術・対象群より5㎜Hg有意に低下しました。この低下度は、臨床的には脳卒中や心不全の20~25%の低下に相当します」
未治療の高血圧患者にも腎デナベーションの効果が確認できたことから、今後はどの段階でこの治療を取り入れればいいのか検討される見込み。
腎デナベーションは実施した患者全員に効くのではない。現時点の課題は、どの患者に効き、どの患者に効かないかの見極めだ。
「早朝・夜間高血圧やSASへは効果が高く、収縮期血圧だけが高く、拡張期血圧が90未満の血管が硬化した収縮期高血圧患者では効果が低い。詳細は今後の研究結果次第です」
苅尾教授は、過去の臨床試験から、3分の2くらいの薬剤治療抵抗性高血圧に効くのではと考えているという。
この治療は高血圧の薬をゼロにできるものではなく、治療後も服薬は必要。減薬の報告はある。また、レニンの分泌過剰による高血圧は腎動脈狭窄(腎血管性高血圧)でも起こるが、病気のメカニズムが違うので、今回の治療は効かない。
なお、腎デナベーションの実用化に向けた臨床試験は、日本メドトロニック、テルモ、大塚グループのJIMROの3社が行っている。