難治性の造血器腫瘍を克服した患者さんが訪ねてきてくれた
Aさんが移植を受けて1カ月が経過したころ、そろそろ回復してくるはずなのに白血球数ゼロが続きました。頻回の輸血で血小板抗体ができて、タイプの合った血小板輸血でないと効果が得られない状態でした。また、口内炎がひどくて食事も取れず、発熱も続いていました。一日一日が地獄のような大変な日々でした。熱が下がっても、すぐにまた高熱が出ます。
■人は希望があるから生きてゆける
当時の私は、以前に骨髄移植を行った17歳の女子高校生の日記を思い出しました。
「人は希望があるから生きてゆける。私には希望は残っている。ただ、たどりつくのが、あまりにもつらく、けわしく、果てしなく、そして残酷なのだ。しかも確実にたどりつけるのかどうかもまったくわからない。そんなものが希望なのか。でも私はそれに必死にしがみつくしかないような気がする」
私は、Aさんが入院している無菌室の中には入らず、「がんばれ!」「もうひといき」「必ず良くなる」などとメモを書いて病棟の看護師長に渡し、「このメモを消毒してAさんに渡して下さい」と言って応援を続けました。