「合いの手」を上手に入れて言葉のラリーを続けること
「『何でも忘れちゃうね、母ちゃん』と笑ったら、ムッとして、『覚えてることだってあるもん』『何を覚えてるの?』『うーん、何を覚えてるか忘れた』だって……」とほほ笑ましいエピソードを紹介した上で、「こんな機転のきいた返しができるなら、ずいぶん脳みそが動いてるんじゃないかしら〈中略〉いまの母も明るく可愛くぼけて、それなりに幸せそうです。私たちも、母との暮らしを少しでも楽しもうと考えています」と結んでいる。認知症の親との理想的な関係といっていい。
「私の名前を忘れてもいいんですよ。私は○○さんの名前を忘れませんから、安心してください」
冒頭のKさんは認知症の入居者との会話でしばしばそう語りかけるという。認知症の親への「合いの手」は、親を機嫌よくする「愛の手」なのだ。