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永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

乳がん<9>「再手術」の記述の変化と「ステージⅣ」の治療

公開日: 更新日:

手術」と「薬物療法」の甲斐もなく、乳がんが「再発」することがあります。部分切除の患者では、乳房の残った組織に、全切除の患者は胸壁(肺より外側の、いわゆるリブの部分)に再発します。あるいは腋窩や鎖骨上のリンパ節に、再発することもあります。それらをまとめて「局所再発」と呼んでいます。局所再発にとどまっていれば、再手術が可能になるかもしれません。

 ガイドラインの初版(2005年)には、再手術に関する記述はほとんどありませんでした。しかしその後徐々に増え、最新版(2018年)では、部分切除後の再発については「原則として全切除が勧められる」としています。ただし限られた症例に対しては「再度の部分切除の可能性」があるとも書かれています。いずれにしても、再手術は可能ということです。また全切除後の胸壁再発についても「細心の注意のもと切除することを考慮してもいい」とされています。腋窩リンパ節再発については、再手術を「弱く推奨」しています。

 しかしステージⅣ(診断時にすでに遠隔転移している場合と他臓器再発)は、残念ながら手術の対象から外れます。せめて原発巣だけでも切除すれば、と思いたくもなりますが、最新版では「切除を行わないことを弱く推奨」しています。解説によれば「原発巣切除で生存期間を延長するのは困難」「むしろ遠隔転移を悪くする可能性がある」といった厳しいことが書かれています。無理に手術すると、体力や免疫力が低下して、かえって寿命を縮めてしまうのでしょう。

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