<9>日本人は相対的に安全の文化を持っている
■日本語の発音も影響か?
しかも、日本人の使う言語は、ウイルスをうつしにくい性質があるという。
「英語や中国語には、破裂音のあとに母音が来ると、息が激しく吐き出される有気音があります。このとき、息と共にウイルスを含む飛沫が飛び出す可能性があります。ところが日本語にはほとんど有気音がない。そのため英語や中国語に比べ飛沫が少ないと考えられているのです」
井上名誉教授はしゃべる時の風圧を測定。日本語は風圧が低く飛沫が遠くに飛びにくいと推測しており、人との間隔は欧米が課す「2メートル」以下でもよいという。人種が混在し、自己主張しなければ存在感を示せない外国人と違って、行動で人を判断する日本人は、そもそも言葉数が少ない。これも日本人に感染者が少ない理由だろう。
日本人の行動は外国人に比べておと(音)なし過ぎるといわれてきたが、別の視点からも考えると、それが幸いしたとも言える。外出後や食事前に手を洗い、毎日お風呂に入る。日本人なら当たり前の生活や行動様式を身に付けておけば、ある程度ウイルスとの共存は可能なのだ。