きゅうりを使った即席冷や汁は熱くほてった体を冷ます
7月に入り、本格的に自給自足の生活をスタートすべく、農薬や化学肥料を使わない農業の研修に参加しました。「国産の野菜は安心安全」と思っている方も多いと思いますが、国連食糧農業機関(FAO)が公開している世界各国の2017年の耕地単位面積当たりの農薬使用量の統計データベースによると、日本は1ヘクタール当たり11・76キログラムで台湾、中国、イスラエル、韓国に次いで世界5位の農薬使用国です。実は農薬をたくさん使っているイメージの強いアメリカの農薬使用量はずっと少なく、日本の5分の1程度。さらにEUは政策により大幅に農薬を減らしています。
実際に日本の田舎暮らしをしてみると、田畑に農薬をまいている姿を日常的によく見かけます。
私自身も「農薬や化学肥料は本当に必要なのか?」と疑問を持ち、農薬や化学肥料を使わない農法で自給自足の生活を始めることにしたわけです。私の住む淡路島でも、特に東日本大震災以降、無農薬の野菜や果物を育てる農家の数が徐々に増えてきているようです。先日は、15年開業、無農薬・無肥料の自然栽培農業を展開する「ビオアグリ」さんの畑でさつまいもの植え付け、田植えを体験させていただきました。
無農薬の野菜を作る上で重要になってくるのが土壌の微生物のバランスです。土壌の微生物の種類と役割は、植物の生育に必要なタンパク質を分解する菌、枯れ葉などのデンプンやセルロースを分解する菌など、たくさんの種類や役割があります。その中には、農作物に害を与える微生物ももちろん存在します。
本来なら、農作物にとって有用な微生物も有害な微生物も、自身の生育しやすい条件のもとで増殖していくため、同じ土壌中でもすみ分けができています。しかし、害を与える微生物が一定以上増殖してしまえば、農作物は病害にかかりやすくなってしまいます。たとえば連作障害は、同じ種類の作物を作り続けることで微生物の多様性がなくなってしまうことが原因で起こります。
■高血圧対策やむくみ防止に効果あり
もちろん殺虫剤や殺菌剤などの化学農薬により有害微生物や病害虫対策を行うことも間違いではありませんが、有用微生物も一緒に殺してしまう場合が多いため、土壌の根本的な解決を求めるのであれば、人間の腸内環境と同様に、微生物のバランスを意識した土壌づくりが重要です。
私は自然界も人間の体も基本的な仕組みは同じだと考えています。食べるもの=体をつくるもの。健康な心と体づくりの基本は最適な腸内環境のバランスと、作物の土壌の微生物のバランス、どちらも同じくらい大切だと思います。
今回の腸活みそ料理は夏野菜の代表、きゅうりを使った超簡単な「即席冷や汁」です。食欲が減退しがちな蒸し暑い時期でも、不思議と食欲をそそります。お好みでご飯や豆腐を加えてもおいしいです。きゅうりはカリウムが豊富で、高血圧予防やむくみ防止に役立ちます。また薬膳でも、体を冷やす働きがあるといわれ、熱くほてった体を冷ますのにぴったりの野菜です。
即席冷や汁
《材料》(2人分)
きゅうり 1本
白練りごま
大さじ1
麦みそ(なければお好みのみそでも可) 大さじ1
冷水(または冷やしたダシ) 1カップ
すりごま 少々
《作り方》
(1)麦みそまたはお好みのみそ、白練りごま、冷水(または冷やしたダシ)をミキサーで混ぜておく(またはボウルでみそを少しずつ溶かしながら全体を滑らかにする)。
(2)器に薄くスライスしたきゅうりを入れて①を流し込む。
(3)すりごまをふりかけて出来上がり。