浅香光代は痛みなく永眠 がん闘病「治す」と「癒す」の配分
ご遺族のコメントから、つらい痛みに苦しむことがなかったのは何よりです。
がんの強い痛みには、モルヒネに代表される医療用麻薬が欠かせませんが、日本はその使用量がダントツに少ない。ドイツの20分の1で、米国の14分の1です。痛みに耐える国民性がデータに表れています。
膵臓がんは、体の奥にあって見つけにくい。進行してから診断されるケースが多いゆえんで、だからこそ浅香さんのような痛みを取ることが大切です。
実は痛みを取る緩和ケアと抗がん剤治療を行うグループと、緩和ケアなしで抗がん剤治療を行うグループに分けて追跡すると、緩和ケアをする方が生存期間が長いことが明らかになっています。緩和ケアで生活の質が良くなると、延命効果があるのです。
膵臓がんを巡っては、治療法が改善し、手術可能な人でも、術前に抗がん剤治療を加えることで平均生存期間が1年近く延長することが報告されています。その結果を踏まえて、今後はガイドラインも改定される見込みです。
膵臓がんは、早期で発見できたら、しっかり治す。末期なら、緩和ケアで癒やす。がん治療は、どのがんでも「治す」と「癒やす」のバランスを取ることが大事です。