日本上陸「変異種」は最悪期の始まりか感染収束の始まりか
「現時点(昨年12月27日=以下同)では情報が少なすぎてどうなるかはわかりません。ただ、私はそれほど悲観的には考えていません。一般的にコロナウイルスは長い目で見ると、感染力が増すとともに病原性は弱くなり、宿主と共存するからです」
新型コロナウイルスは人類が初めて直面した新しいタイプのコロナウイルスだったためにパンデミックを起こしたが、現在、人に風邪を起こすコロナウイルスとして確認されている4種類も大昔はパンデミックを起こしたのかもしれない。そして、パンデミックを起こした後に長い時間をかけてヒトに定着した可能性が高いのだという。
とはいえ、それは中長期の話であり、短期的にはどうなのか?
「短期的にどうなるかはわかりません。むろん、感染力が上がれば、糖尿病や肺の疾患などの持病がある人も感染する確率が高くなるので、一時的に重篤な患者さんや亡くなる人は増えるかもしれません。ただし、一部で報じられているように変異種が従来型に比べて体内での増殖速度が高まっているのが本当なら、ウイルスの病原性は高まるのが普通です。ところが現時点では変異種に感染した患者さんにとくに目立った重篤な症状の増加がみられないといわれている。そのことからそれほど病原性が強まったということはなく、むしろ弱くなった可能性もあります」(宮沢准教授)