5人に4人が「何らかの精神的な問題」を抱えた経験がある
一方、何らかの精神的な問題を抱えた経験がない17%未満の人たちとは、どんな人なのか気になるところです。生活に余裕のある人、お金をたくさん持っている人、あるいは高い知性を持ち優秀な企業に勤めている人……などを想像しがちですが、そうではありません。それらの人たちに共通している点は次の2つでした。
1つは、精神疾患を経験したことのある家族がほとんどいない点。もう1つは、当人のもともとの性格で、たとえば幼少期に自己統制にたけていたり、多くの友人に囲まれていたという点でした。前者は変えられない事象ですが、後者は変えられる事象です。気持ちさえあれば、誰だって友人を増やせます。
ただし、当コラムでも触れたように、単に友人を増やすのではなく、あなたが心を開ける理解者をつくることが肝要です。親友をつくる――その過程があなたの気持ちに安らぎを与えてくれる良薬となり、深く沈んだ気持ちを引き上げてくれる力となります。
また、日本が心の病を骨折や風邪などと同じように扱う成熟した社会になることも重要でしょう。リンネ大学のヤングビストらが行った研究(2016年)では、「精神を病んでいる人に、毎月50ユーロ(約6500円)を9カ月間“投与”したところ、不安やうつ症状が減り、人間関係や生活の質が向上した」という研究結果もあるほどです。