冬のトイレは血圧を急激に変動させる条件が揃っている
寒い冬はトイレに用心してください。温度など環境の変化によって血圧が急激に上下動することで「ヒートショック」を起こし、心筋梗塞、大動脈解離、不整脈、脳卒中といった心臓血管疾患を引き起こす危険があります。心臓にトラブルを抱えている人、高血圧の人、加齢で心機能が低下している高齢者はなおさらです。
トイレはただでさえ血圧の変動が起こりやすい環境といえます。排便の際に軽くいきんだだけで、最大血圧が60~70㎜Hg以上アップするというデータがあります。また、和式でも洋式でも排便時に前かがみにしゃがみ込む姿勢は、心臓が圧迫されるうえに呼吸もしづらくなって、血圧の変化が強く表れます。「心臓病の患者がいちばんやってはいけない姿勢」といわれているほどですから、トイレでは想像以上に心臓に大きな負担がかかるのです。
気温が低い冬は、さらにリスクがアップします。普段過ごしている部屋の室温に比べ、トイレの気温が低い場合が多いので、より血圧が急激に上下動しやすい環境だからです。朝起きて、布団から出てすぐにトイレに入り、用を足す……多くの人はこのような習慣があるのではないでしょうか。温かい布団の中では血管が拡張して下がっていた血圧は、気温が低いトイレでは血管が収縮して上昇します。また、尿をガマンしている状態では血圧は上がっていて、一気に排尿すると急激に下がります。