「利尿薬」を使って尿量を増やすとなぜ血圧が下がるのか
利尿薬は、尿量を増やすことで血液中の水分を減らし、結果として血圧を下げる効果を持っています。原理についてはかなり難しい話になってしまうのですが、簡単にいうと、ほとんどの利尿薬は尿にナトリウムをたくさん出すことで尿量を増やしています。これは先ほどお伝えした血液のボリュームが増えるのと同じ原理です。クスリの効果によって尿中のナトリウムが増えると尿の濃度が上昇するので、血液中の水分は尿に移動します。その結果、尿量は増加、血液のボリュームは減少し、血圧を下げます。
こうした効果は「ナトリウム利尿」と呼ばれています。われわれが普段摂取している塩の主成分は塩化ナトリウムです。つまり、利尿剤の効果であるナトリウム利尿は、水分だけでなく塩分も体の外に出すことになるので、高血圧の治療としては一石二鳥といえます。
一方で、普段それほど塩分摂取量が多くない人が利尿薬を使っていると血液中のナトリウムが少なくなりすぎるケースもあるので、定期的な血液検査をしたほうが良いでしょう。ただ、高齢者は味覚が低下しているため、濃い味付けを好む傾向があります。そういった場合の高血圧に対しては利尿薬の効果が期待できます。
利尿薬を服用すると尿の回数も増えます。夜に服用すると頻回にトイレに行くことになり、睡眠の妨げになる可能性があります。そのため、多くの場合で利尿薬の用法は「1日1回朝食後」となっているはずです。