長寿研究のいまを知る(6)老化細胞を取り除く「ワクチン」「薬」は競争が激化している

公開日: 更新日:

 さらに、人間なら70歳代の高齢マウスにこのワクチンを投与したところ、運動量や歩行速度が50歳代のマウス並みに改善し、フレイル(加齢や疾患により心身が老い衰えた状態)の進行が抑制されたという。

 一方、老化細胞内で細胞死のプログラムを誘導する、セノリティックスと呼ばれる老化除去薬の開発も進んでいる。

「2021年に東京大学の研究グループが老化細胞だけを取り除くことに成功したと発表しました。老化細胞が生存するのに必要な遺伝子群を探索した結果、GLS1と呼ばれる遺伝子が関係していることを見つけ、老齢マウスにGLS1阻害剤を投与すると、さまざまな組織や臓器の老化細胞が除去され、加齢現象が有意に改善したというのです。GLS1は、グルタミンをグルタミン酸に変える酵素で、その過程でアルカリ性のアンモニアを大量に作ります。一方、老化した細胞は本来、酸性化して死んでいくのですが、GLS1を活性化することで細胞内が中和され、生き延びている。そこでGLS1阻害剤でそれを阻止して生き残れないようにするのです。興味深いのは、とくに肥満糖尿病動脈硬化、非アルコール性脂肪肝の改善に有効であり、筋力の維持にもつながったことが報告されたのです」 (つづく)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神“強制終了”は「事実上の解任」…体調不良で異例の退任会見ナシなど誰も信じない

  2. 2

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  3. 3

    自民58議席減・自公で過半数割れの衝撃!政治評論家・野上忠興氏が予想【表あり】=衆院選公示

  4. 4

    藤川阪神はヘッド&二軍監督の組閣難航で多難すぎる船出…鳥谷敬氏や赤星憲広氏の招聘は絶望的

  5. 5

    百田尚樹氏vs飯山陽氏 “日本保守党ドロドロ内紛”の船出…4月補選の蜜月はどこへ?

  1. 6

    自民裏金議員「落選濃厚」20人リスト…非公認6人+比例重複なし14人が“ドボン”の瀬戸際

  2. 7

    森保Jで世代交代が急加速!主将・遠藤航、最年長の長友佑都、豪州戦OG谷口彰悟は次回召集外か

  3. 8

    「カネさえあれば…」はもう古い! 今どきの女性が絶対譲れない“結婚の条件”

  4. 9

    ソフトバンク 投手陣「夏バテ」でポストシーズンに一抹の不安…元凶はデータ至上主義のフロントか

  5. 10

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》