長寿研究のいまを知る(6)老化細胞を取り除く「ワクチン」「薬」は競争が激化している

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 実は、この発想による医療技術は既に実用化されている。CAR-T細胞療法と呼ばれるもので、患者の血液から作ったCAR-T細胞と呼ばれる細胞を用いたがん治療法だ。主に白血病治療で成果を上げている。

■順天堂大と東大で注目研究

 これを応用した老化細胞除去の研究が世界中で行われ、日本でも研究が進んでいる。

 2021年には順天堂大学の研究グループが蓄積した老化細胞に対する抗体を作り、これを除去するワクチン開発成功を発表。ターゲットは、老化した血管内皮細胞の表面にあるGPNMBと呼ばれる老化抗原(目印)。開発されたワクチンを投与すると血管や臓器にたまった老化細胞に対する抗原が作られ、白血球などの免疫細胞が異物と認識して攻撃して体外に排出するという仕組みだ。

 同研究グループによると、このGPNMBワクチンを高脂肪食で飼育したマウスに投与したところ、食後血糖値が低下したほか、肥満による糖代謝異常も改善、血管内のプラークも軽減した。また、早老症マウスに注射したところ、最大30週の寿命が40週まで延長したマウスもいたという。

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