脳がいかにいい加減かを証明する「インビジブル・ゴリラ」って何だ?
さまざまな機能を持つ人間の脳ですが、実は“いい加減”なところがあります。科学の進歩によって、脳の認知についての研究は、ここ数十年で加速度的に進んでいますが、その結果分かってきたのは、「人間が物事をきちんと見るのは難しい」ということです。
例えば、同じ現象を前にしたとき、正反対のことを思う人が一定数います。Aだと思った人は、「なんでAだと思わないの?」と不思議に思うかもしれません。しかし、正反対のことを思った人に判断や考え方に問題があったわけではありません。たまたま、「目の前の出来事が見えなくなった」ことで、正反対に感じてしまったに過ぎないのです。
脳がいかにいい加減であるかを実証したハーバード大学のチャブリスとシモンズが行った「インビジブル・ゴリラ」と呼ばれる有名な実験(1999年)があります。この実験では、被験者にある動画を見てもらいます。
その内容は、白いTシャツと黒いTシャツを着た男女がバスケットボールをパスし合う動画で、冒頭に「白いTシャツの人が何回パスを回すか数えてください」という文字が登場します。