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南渕明宏

昭和医科大教授、心臓血管外科専門医、医学博士。

ミスをした時、詭弁を弄する医師はなにを守ろうとしているのか

公開日: 更新日:

 医療事故を調査する機関があります。良い制度です。ただしその良さが、医者の間でもよく理解されていません。

 調査は「犯人を見つけて罰する」ことが目的ではなく、①何が起こったのかを解明する②改善策を具体的に提起する、のが目的です。

 JR西日本の尼崎脱線事故以来、西武鉄道などを除く多くの鉄道会社は「ミス=懲罰」の風習を絶った、と報道されています。

 ところが、この医療事故調査の制度には大きな欠陥があります。病院長が要請しないと事案として取り上げてくれないのです! 先日、公共放送がこの制度を取り上げ「患者側からの要請で取り上げる道もある」(クローズアップ現代)と報道していましたが、これは誤報です。私自身が電話で「病院長の依頼でなければ受け付けられないこと」を確認しましたから。

 官尊民卑に男尊女卑、古風な価値観に凝り固まった絶滅すべき思想の医者は、まだまだ生き残っています。「自分の行動はすべて正義! 過ちなどない!」(「三国志演義」『呂伯屠殺』)の曹操が思い起こされます。

【連載】医療のミカタ 医療のフシギ

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