介護する飼い主もつらい…病気で苦しむ老ペットの“晩年の問題”
そして、最も厳しいのが認知症です。ワンちゃん、特に柴犬によく見られます。症状は徘徊や夜鳴きが典型で、遠吠えのような鳴き声が朝夕関係なくみられます。飼い主さんも寝られず、ノイローゼになることは珍しくありません。そこに近隣からの苦情が重なると、より深刻です。
そういった状況を動物愛護センターや保健所に相談しても、まず引き取ってはくれません。飼い主さんは治療の継続を説明されたり、終生飼育を促されたりするのが現実です。認知症の症状のつらさや近隣の苦情、飼い主さんの精神的な限界を伝えても、です。
動物愛護管理法との関係で、そういう施設のスタッフもなかなか飼い主さんに添う形では動きにくいのですが、すべてNOということでもありません。長く当院をかかりつけにされた女性は、ご自身もがんになり、入院するたびに、ワンちゃんを当院に預けて治療されていました。
その一方で保健所にも何度となく相談されていたようで、その方が亡くなると、スタッフがかなり足を運んでくれ、老犬ホームの引き取り先探しなどかなり熱心に対応してくれたことが印象に残っています。