コメ不足の“犯人”は明らかだ 米国頼みの食糧政策に危機感ゼロのメディアと日本国民
ウクライナ戦争が起きた時、アメリカの言うがままロシアへの経済制裁を早々に決めた。そのためロシアは小麦の輸出をストップ、ベラルーシも肥料の原料となるカリウムの輸出を止めたため、大打撃を被っているのは日本なのに。
これほどの危機が迫っているというのに、農水省も政治家も無能なままである。減反に次ぐ減反で、1960年代に年1400万トンを超えていた米の生産量は716万トンと半減してしまった。農業従事者の老齢化、離職、後継者不足と、自給率が良くなる材料は見当たらない。
春には5キロ2000円だった米が不足を理由に1000円も値上げされたという。こうしたことを考えれば、この騒動がいつ「一揆」になってもおかしくないと思うのだが、お上に従順なこの国の民は、テレビの前で、「お米の代わりにラーメンやうどんを食べます」と笑顔で答える。
もしも中国が台湾に侵攻して中国から食料品が入らなくなっても、メディアが流すプロパガンダ「欲しがりません、終わるまで」「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」に呼応して、ヒエやアワを“スーパーフード”と称し、耐えがたきを耐えるのだろう。
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)