動物病院を替えたら薬が効くようになったのは一体なぜ?
さて、薬について。ペットの服用は丸飲みするのが一番で、おやつに包んで飲ませることがよくあります。ところが、ヒトの薬をペットに飲ませる場合、1錠では多過ぎでペットの体重に合わせて調剤することがあります。その調剤で薬の効果が下がる可能性もあるのです。
その典型が糖衣錠。糖でコーティングされている薬で、糖衣が胃酸で溶け、薬そのものは十二指腸で吸収されます。これを体重割で砕くと、薬が胃酸で溶け、効果が下がる恐れがあるのです。これを避ける方法がカプセルで、当院で糖衣錠を砕くときはカプセルに詰めてお渡しします。
■保存は冷蔵庫で!
次に多いのが、シロップを活用するケース。使用できる薬が限られていて、一番は抗生物質でしょう。抗生物質が苦手だとシロップに溶かし、1回の分量を決めて、処方日数や回数に応じた分を写真のポリ容器に入れて処方します。少しでも薬の状態を安定させるため保存は冷蔵庫。これを守らず、ほかの錠剤と同じように常温で室内に保存すると、成分が分解されて効かなくなる恐れがあります。
ヒトが薬局で処方薬をもらうとき、薬の説明書が明細書と一緒に渡されると思います。動物でも同じ仕組みを採用するところが増えていますから、薬の写真と剤形が異なるときは調剤の理由などを質問するとよいと思います。
(カーター動物病院・片岡重明院長)