「日本生命」が介護最大手「ニチイ学館」を買収…米投資ファンドは1000億円の大儲け
だが、19年9月に創業者で会長の寺田明彦氏が死去したため、上場(東証1部)を維持したまま体制を継続していくことは難しいと判断し、20年5月にベインキャピタルが組成した投資目的会社「BCJ-44」に株式公開買い付けを行う形で事業譲渡するとともに、21年4月に持ち株会社に移行。内部昇格で森信介氏が社長に就いた。いわゆる経営陣によるMBO(マネジメントバイアウト)により非上場化したものだ。
ニチイHDは経営が安定化した段階で、株式の再上場を目指していたが、株式公開買い付けの際に金融機関等から借り入れを起こしており、ニチイ学館の経営がうまく立ち行かない場合には、事業継続に支障を来すリスクが想定されていた。
幸い経営は軌道にのり、「長期借入金については約定返済が進められる一方、2022年3月期末時点においては、ニチイ学館からの長期借入金50億円が計上され、長短借入金は1075億円へと増加したが、2023年3月期はニチイ学館からの長期借入金は完済。買収資金の手当てとしての長期借入金についても約定返済が進められ、期末の借入金残高は1014億7500万円と前期末比60億2500万円減少した」(大手信用情報機関)という。