1ドル=160円台の“悪夢”再来か…植田日銀「利上げは情勢次第」発言でズルズル円安に
「来年1月に発足するトランプ政権の政策は減税と高関税が軸。インフレ圧力が高まるのは必至で、米国では利下げできない環境が続くと予想されます。日銀が大胆な利上げに踏み切らない限り、円安・ドル高の基調が続くでしょう。ただ、植田総裁も会見で言葉の端々に円安による弊害をにじませており、本音は12月利上げも辞さない構えではないか」
■埋まらない日米金利差
植田氏は利上げのタイミングを明言しなかったが、現状、利上げしやすい環境が整っているという。
「総選挙で大敗した石破政権が今後どうなるか見通せない状況の中、林官房長官は金融政策について『日銀に委ねられるべき』と明言しています。国内の政治的圧力が和らいだ環境であり、国外からのプレッシャーもない。トランプ次期大統領は円安に批判的で、円高は大歓迎。いわば日銀は利上げに関してフリーハンドの状態なのです。日銀にはチャンスですが、たとえ12月に追加利上げしたとしても、7月と同じ0.25%程度の小幅な利上げでは、米国のインフレ政策に引っ張られて日米の金利差は埋まらない。ジワジワと円安が進み、再び160円台を突破する可能性は否めません」(斎藤満氏)