「ぼくはセレソンに入りたいんだ。子どもの頃からの夢だからね」
彼は笑顔できっぱりと断った。ところが、ジエゴ・コスタは違った。ブラジル代表の招集を断り、スペイン代表を選んだのだ。
ブラジル人は自国のサッカーは世界一だと考えている。ブラジルよりもスペインを選んだジエゴ・コスタは許せない存在だった。さらにスペイン代表には、能力のあるフォワードがたくさんいた。ジエゴ・コスタはW杯のプレッシャーに加えて、スペイン代表内部の嫉妬、そしてブラジル国民の反感に潰されてしまったのだ。
文・田崎健太(ノンフィクション作家)