羽生強行出場が典型例 選手を潰す「スポーツ界」の悪しき体質
根強い人気の高校野球は、甲子園大会に出場できるか否かで監督の力量が問われる。甲子園に出るために有望選手を酷使するのは日常茶飯事だ。
昨春のセンバツで準優勝した済美高の安楽投手(ドラフト1位で楽天に入団)は、5試合で772球も投げた。米国でクレージーだと話題になり、米メディアがわざわざ済美高まで取材に訪れた。安楽は秋に右ひじを故障した。
過去にさかのぼれば、肩やひじを壊して甲子園に出られなかった投手は星の数ほどいる。憧れのプロ野球に入れば入ったで、今度はコーチからあれこれフォームをいじられダメになった者もいる。
「コーチ論」の著者でもある織田淳太郎氏(スポーツライター)が言う。
「スポーツの語源は気晴らしや楽しみです。米国の指導者は、選手が聞きに来れば教える、手助けをするというスタンス。長所を伸ばすことに重きをおく。それで成功しなければ本人の責任という競争社会です。日本の指導者は自分の考えを押し付け、悪いところを直そうとする。選手の個性を重視していない。私は早大の時にボクシングをやっていたが、体調が悪くても練習を休める時代ではなかった。昔は命懸けと言われた大舞台でも、今の若い子たちは『楽しんでくる』と言う。野球もサッカーもゴルフも若い子の海外志向が強くなったのは、旧態依然とした指導体制や上下関係に対する嫌悪感もあると思う」
自分の子供をプロスポーツ選手にしたいなら、早いうちに日本から脱出させるべきだ。