“犬猿の仲”の本当の関係 野村監督は長嶋監督嫌いだった?
野村監督はテスト生上がり。努力だけで這い上がった。長嶋茂雄は野球のエリート、スマートさで抜群の人気を誇り、「逆立ちしてもかなわん」相手だった。それが野村監督の原動力となった。
■嫉妬、敵愾心、自虐
自分にないものを持つ相手に嫉妬し、その強さが敵愾心を生み、それがバネになった。長嶋茂雄という存在があったからこそ、野村克也は学んで強くなった。生まれ育ちや顔でなく、見えないところで勝ちたい。月見草という自虐は、誇りの裏返しだったと思う。
長嶋茂雄氏は、野村克也の死に、「野球への底知れぬ愛は、永遠に生き続ける」と弔いの言葉を贈った。「永遠」の中に、実は長嶋さんも、野村さんに、自分の持たないものを見ていた、という気がしてならない。
巨人軍に「永久に不滅です」という言葉を残した長嶋監督が、野村監督に「永遠に生きる」と別れの言葉をかけた。この言葉を、生前の野村監督はいちばん望んでいたのではないだろうか。
では、すべての記録を破られた、王貞治との関係はどうだったか。=つづく