柔道65kg級・柏崎克彦氏「今でもモスクワ五輪の夢を見る」
この時、すでに28歳。当時は合宿や大会などがあるたびに学校を休まざるを得ず、同僚教師に迷惑をかけていたこともあり、モスクワ五輪を最後に現役引退を決意していた。
しかし、出場する権利を手にしながら、モスクワの畳に上がれなかったため、世界チャンピオンに目標を切り替えたという。
「今でも、モスクワ五輪のことが夢に出てきたり、思い出すと悔しさがこみ上げてきますけど、教員だったことで気持ちを整理できたと思います。私が大会で優勝して大きく報道されるたびに、生徒たちが『先生、おめでとう』と祝福してくれるんです。これが世界選手権だったら、どれだけ喜んでくれるんだろうと思い、現役を続けるモチベーションになりました」(柏崎氏)
■引退決意も新たなモチベーション
モスクワ五輪の代替大会として80年秋に世界の強豪選手を集めて行われた「カナダ国際柔道」(ケベック)で優勝した柏崎氏。同年の講道館杯も制して翌81年の世界選手権(オランダ・マーストリヒト)でも頂点に立ち、実力を証明した。