プレミア12敗退の監督・小久保裕紀から届いたメールの返信
バルセロナ五輪の翌1993年、ダイエーに2位指名された小久保は現役生活を経て、2013年に侍ジャパンの監督に就任した。15年、プレミア12の準決勝で継投がうまくいかず韓国に敗れ、厳しい評価を受けた。私は試合後、小久保に激励のメールを送った。しばらくして来た返信には、こうあった。
「バルセロナの準決勝で台湾に負けた時の監督の心境が今はよくわかります。次は必ず勝ちます」
28年前のちょうど今頃だった。8月4日。私はバルセロナ五輪で台湾に敗れて金メダルを逃した試合後、ショックのあまりユニホームを着たまま、自室で身動きが取れないでいた。もしも、あの時こうしていたら……。スコアブックを見返しながら、考えても考えても答えは一向に出ず、頭の中で堂々巡りするばかり。翌日の3位決定戦があることも考えられず、自暴自棄になりかけもした。
16年冬、私の野球殿堂入りパーティーで締めの挨拶を引き受けてくれた小久保は、心のこもった素晴らしい話をしてくれた。韓国戦の話にも触れ、明け方まで一睡もできなかったという。その悔しさを糧に翌17年のWBCを戦い、準決勝で米国に敗れたものの、日本の野球を精いっぱい、アピールしたと思う。いつかプロ野球の監督になった時にその経験は必ず生きることだろう。 =つづく