伊藤智仁の起用を巡る葛藤 キューバ、台湾戦では信頼せず
伊藤は予選リーグ2戦目のスペイン戦で1失点完投勝利を挙げると(七回コールド)、中3日で迎えたイタリア戦も3失点完投(八回コールド)。3位決定戦の米国戦では、4回途中自責点1と好投した。3試合18イニングで実に27個の三振を奪い、奪三振数のギネス記録を作り、世界に実力を知らしめた。
あと1年、いやあと半年、開催が遅かったら、伸び盛りの伊藤をエースとして起用したかもしれない。そして、バルセロナ五輪の銅メダルという結果はもしかしたら違った展開になったかもしれない。もっと伊藤を信頼し、彼に賭けるくらいの戦いをするべきだったのではなかったのかという思いは、28年経った今も心の中で消えることはない。 (つづく)