アーチェリー安久詩乃が語る“15cm・15kg増量”涙の肉体改造
安久詩乃(アーチェリー/22歳、同志社大)
「もともと予想をしていたので大きなショックや動揺はありませんでした」
安久は東京五輪の延期が決定しても冷静だったという。しかし、焦りは募った。
五輪代表選考は、今年3月に行われた第2次選考を通過した、安久を含む5人の候補者を維持したまま、最終選考会を残した状態で凍結されているからだ。その中から五輪切符を手にできるのは3人だけ。内定者は来年3月20、21日に行われる予定の最終選考会の結果で決まることになる。
「他の候補者たちよりも(学校の)練習場が開いたのが遅かったんです。7月になってやっと使えるようになっても、“3時間”という制限付き。練習量が思うように確保できず、焦りや不安がありました。でも、他人の状況と比べても仕方がないじゃないですか。だんだん『自分にいまできることをやるしかない!』と考えるようになっていきました。アーチェリーは自分に打ち勝った人が勝てるスポーツです。自分だけに集中するのが一番ですよね」(安久)
■新体操部に入るはずが…
アーチェリーを始めたのは同志社女子中に入学してからのこと。市内の公立小学校に通っていたが、同校の卒業生である母の勧めで中学受験を決意。3歳から習っていたクラシックバレエの経験を生かし、合格した暁には新体操部に入りたいと、これを受験のモチベーションにしていたという。
「ですが、いざ入学して新体操部の部活動見学に行くと、『経験者しか入れない』と言われたんです。ショックでした。『先に言ってよ~!』と(笑い)。そんな時に仲の良い友達がアーチェリー部に入ると聞いたので『私も入る!』と入部したんです。飽き性な性格だからか、すぐに新体操への思いは消えました」(安久)
最初の1年間は弓に触らせてもらえず、筋トレばかりだった。
「バレエでは『痩せろ』と言われ続けていたので、本当に華奢でした。身長は140センチくらいで、力がなかった。筋トレはキツかったんですけど、同級生に負けたくない一心で頑張りました。バレエのために部活を休むのが嫌で、それに足の故障も重なり、2年になるとすぐバレエをやめてアーチェリー一本に。今度はパワーを付けるために『太れ』と言われるようになったので、部活の合宿では体重を増やすために泣きながらご飯を食べたりもしましたね。その結果、3年間で身長は15センチ、体重も15キロくらい増えたんです」(安久)