1997年開幕直前 近藤昭仁さんから突然“引退勧告”を受けた
自宅で妻に、引退勧告を受けたことを打ち明けた。すると、妻は「せっかくそういう話をいただいたのだから、コーチ業を快く引き受けて、しっかりやらせてもらった方がいいんじゃない?」とアドバイスをくれた。
それから数日、冷静になっていろんなことを考えた。
■セ・リーグでやってみたいけど…
「まだまだやれるという気持ちがある。でも、体のことを考えたら引き際なのかな」
「現役続行を希望するなら、トレードしてもらうしかない。セ・リーグで一度はプレーしてみたい気持ちも少なからずあった。人気のセ、実力のパと言われた時代にプレーしてきた。でも、今の自分は結果を残せるのだろうか。やれてもせいぜい1、2年ではないか。せっかく、コーチの話をもらったのだから引き受けよう――」
2日ほどで答えが出た私は、近藤さんに「これからはコーチとして頑張らせていただきます」と伝えた。
できうる限り現役を続けたい気持ちは当然あった。92年の右足首捻挫など、大きなケガの回数が少なければ、1500試合出場はクリアできたかもしれない。コーチの話がなかったら、他球団でのプレーを考えただろう。