ヤクルト高津監督の胆力は現役時代と変わらず 前年最下位から優勝目前
セ・リーグの首位に立つヤクルトを率いる高津臣吾監督(52)は、異質な抑え投手だった。
同時代に活躍した大魔神・佐々木主浩が150キロ超の剛速球と決め球のフォークで三振の山を築いたのとは対照的に、横手から放る直球のスピードは140キロそこそこ。シンカーという武器はあったものの、その勝負球を生かすため、平凡なストレートを時に大胆に打者の内角へ投げ込みながら、ストライクゾーンと持ち球をフルに使って、我慢強く、しぶとく、慎重にアウトを取った。
日米16年間で1093奪三振を記録した佐々木に対し、同じくメジャーを経験した高津は日米17年間で679奪三振と大差がある。それでいて、通算381セーブの佐々木に比肩する313セーブを挙げた。とてつもないことである。
素材に劣る分、くぐり抜けてきた修羅場と心身のタフさは大魔神以上と断言できる。
功成り名を遂げたにもかかわらず、現役の晩年は台湾でプレーし、名球会会員として初めて独立リーグのマウンドにも立った。