<17>五輪開会式の悲喜こもごも 皇帝プルシェンコは「塩対応」で怖かった
4日は北京冬季五輪の開会式。政治的な理由やコロナ対策の一環で開会式に参加しない選手もいる。
私も開会式を欠席したことがある。1998年長野のときだ。メダルを確実視されていたこともあり、競技に集中しようと開会式には出席しなかった。とはいえ、開会式の様子は選手村のテレビでしっかり観賞。そのとき確信した。「テレビの方が楽で分かりやすい」と。実際に参加してみると、どこでどんな演出が行われ、今どこで誰がスピーチしているのか、さっぱり分からない。
94年リレハンメル五輪のときは、「五輪は最初で最後かも」と“記念受験”のような感覚でウキウキで参加したが、そこはノルウェーの屋外会場。死ぬほど寒かった。ブルブル震えながら、プレハブ小屋のような控室に避難すると、みんながこぞってそこに集結するので、今度は暑い! 汗をかいて風邪をひくのだけはまずいと急いで宇宙服のようなダウンを脱いだ。
■お祭り気分を一転させた「トリノの悲劇」
開会式の醍醐味といえば、普段めったに会えない有名アスリートと写真を撮ってもらえることだった。日本の主将として出席した2006年トリノ五輪の開会式では、フィギュア男子の「皇帝」プルシェンコを発見。興奮して周囲の人に「撮って!」と頼んだことがある。プルシェンコは撮影こそ応じてくれたがニコリともしてくれず塩対応。ちょっと怖かった。