広島・菊池涼介は2017年WBCで“天国と地獄”を味わう…「本当に申し訳なくて」

公開日: 更新日:

「(菅野から)返ってきたひと言に救われました」

 舞台をロサンゼルスに移した米国との準決勝は、日本のエース・菅野智之巨人)と、前年16勝を挙げたタナー・ロアーク(ナショナルズ)の両先発による息詰まる投手戦となった(所属はすべて当時)。

 試合が動いたのは0-0の四回だ。1死走者なしから米国のイエリチ(マーリンズ)が放った強い打球を二塁の菊池がはじいてしまう。ボールが外野を転々とする間に走者が二塁に到達。

 さらに2死一、二塁とされ、先制点を奪われた。

 六回に2番手右腕のネイト・ジョーンズ(ホワイトソックス)の158キロを打ち返し、意地の同点本塁打で1-1としたものの、試合は1-2で接戦を落とした。

 名手による痛恨の失策は試合中、細かい霧のような雨が降り続き、芝生が濡れていたことも影響したようだが……。

「それでもエラーはエラーです。その後の打席では、いつも以上に『取り返したい』という気持ちになったし、だからホームランを打てたのかもしれない。とにかく必死に食らいついたから、あの打席のことも全然覚えていないんです。菅野は本当にいい投球をして、米国打線を完璧に抑えていた。それなのに、あのエラーがきっかけで先制点を取られてしまった。本当に申し訳なくて……」

■守りのミスは流れが変わる

 敗戦後、同学年の菅野のもとへ向かった。

「ロッカールームで『本当にごめん!』と改めてエラーしたことを謝ったんです。すると菅野から『それよりナイスホームラン!』って返されて……。あれには救われましたね。ボクがエラーをして点を取られ、その後ホームランを打ったからといって、あのミスは帳消しにはならない。国際大会では先制するか、されるかで流れも雰囲気も変わってしまう。(特に)守りのミスは流れが変わる。僕は当事者だから身に染みて分かっているつもり。今でもそれは肝に銘じています」

 今大会のメンバーは、前回2017年大会を故障で辞退した大谷翔平(エンゼルス)をはじめ、すでに宮崎合宿に合流しているダルビッシュ有(パドレス)、元同僚の鈴木誠也(カブス)ら、5人のメジャーリーガーが参戦する。

「短期決戦はチームが一つにならないと勝てません。今回のメンバーも実力者ばかり。自信を持って戦えば大丈夫だと思います」

菊池涼介(きくち・りょうすけ)1990年3月11日、東京都東大和市出身。武蔵工二高(現・東京都市大塩尻高)、中京学院大を経て2011年ドラフト2位で広島入り。16年に最多安打のタイトルを獲得。19年プレミア12で優勝。20年にシーズン守備率10割を達成し、セ・リーグ記録となる連続守備機会無失策503をマーク。その後569まで伸ばした。21年の東京五輪で金メダル。10年連続ゴールデングラブ賞を受賞中。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末