「親が倒れた!」小林裕美子著
「認知症は家族の病気」ともいわれる。本人もさることながら周囲が振り回されるからだ。本書はそんな家族内の騒ぎや悩みをマンガでわかりやすく体験させてくれる。
登場人物は73歳の父、2歳下の母、近所に住む2人の子持ちの長女夫婦、頼りない長男夫婦、独身キャリアウーマンの次女の桜井一家。元気だった父が脳梗塞で倒れ、退院後3カ月目にして認知症を発症。要介護状態にボケが加わったために母は介護うつ、さらに自分まで倒れてしまう。その陰で振り回される子供たち……。深刻だがどこにでもありそうな話の展開がリアル。「介護に正解はない」の言葉も染みる。(新潮社 1000円+税)