「ダブルマリッジ」橘玲著

公開日: 更新日:

 商事会社に勤める桂木憲一は、パスポートの期限が切れてしまったことに気づき、娘に戸籍謄本を取ってきてくれるよう頼んだ。

 ところが、その戸籍謄本の婚姻欄には妻の名と並んで「ロペス・マリア」というフィリピン女性の名前が。戸籍を乗っ取られたのではないかという妻は、警察に被害届を出すべきだという。

 事実関係を調べるため市役所に出向いた憲一は、フィリピン政府が発行した婚姻証明書が、数年前に提出されていることを知る。

 家族の前では心当たりがないと言っていた憲一だったが、実は妻と出会う前に赴任したフィリピンで、マリアという女性と、下町の小さな教会で愛を誓った過去があった。たった1カ月しか続かなかった関係だったのだが、彼女はなぜ、最近になって届けを出したのか――。

「マネーロンダリング」でデビューして以来、特に金融小説の分野で人気の高い著者が「国籍」というテーマに挑戦。婚姻を利用した日本国籍取得の実態がよく分かる。(文藝春秋 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる