「シベリアのビートルズ」多田麻美著
シベリア東部のイルクーツクには、スターリン時代や戦時中に多くの文化人が集まって、自由な精神を重んじる伝統がある。
モスクワからは遠いが、ロック音楽への政治的な規制はゆるい。だが、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに情報の統制は厳しくなった。
2018年から住んでいる著者は、ビートルズファンの画家、スラバ・カロッテと知りあった。ある日、ジョン・レノンの誕生日を祝うからとスラバの部屋に招かれた。ロシアの政治的スローガン「レーニンとは党のことだ!」を「レーニンとはレノンのことだ!」と言って面白がっている。
ロシアの画家と結婚した女性が見たロシアの若者たちの姿をつづるエッセー。
(亜紀書房 1980円)