珈琲も空間も楽しみたい 魅惑のカフェ&喫茶店本特集
「珈琲が美味しい東京のカフェ&喫茶店」高橋敦史編著
珈琲の味を決めるのは、豆の種類や焙煎方法だけではない。空間の持つ力だって大きい。和の雰囲気で飲みたいときもあれば、エキゾチックな空間で楽しみたいときもある。さて、今日はどんな空間を選ぼうか。
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「珈琲が美味しい東京のカフェ&喫茶店」高橋敦史編著
京都の老舗喫茶「小川珈琲」の東京の旗艦店が2020年に開業した「OGAWA COFFEE LABORATORY 桜新町」だ。カウンターにバリスタが並び、エスプレッソ、プアオーバーなど、さまざまな注文に応じてくれるだけでなく、カップに美しいラテアートを描いてくれる。
上野にはゴージャスな内装の「高級喫茶 古城」がある。金色のライオンが並んだ階段を上り店内に入ると、天井にはシャンデリア、窓にはステンドグラス、床にもアールデコ調の装飾が施されている。店内の一角には2人掛けのロマンスシートも。看板メニューは創業当時から変わらないミックスサンド。
懐かしい名曲喫茶も残っている。「名曲・珈琲 新宿らんぶる」では、以前は客のリクエストしたクラシックの名曲を流していたが、現在は穏やかな曲をBGMとして流している。
東京の個性的なカフェを紹介。
(イカロス出版 1870円)
「純喫茶とあまいもの 名古屋編」難波里奈著
「純喫茶とあまいもの 名古屋編」難波里奈著
モーニングセットが充実していることで有名な愛知県のカフェは、レストランのシェフやパティシエには思いつかないようなユニークな料理やスイーツが目白押しだ。
名古屋市内に8店ある「コンパル」の看板メニューは「エビフライサンド」。名古屋市民が大好きなエビフライ3本と卵焼き、キャベツにカツソースとタルタルソースをかけてトーストで挟んである。そのほか、約20種のサンドイッチもテイクアウトOK。
また、名古屋では餡のサンドイッチは定番らしく、「コーヒーハウスかこ花車本店」の「小倉バナナサンド」、「ぐりぐり」の「小倉抹茶アイストースト」など、バリエーションも豊富。
スイーツだけでなく、スパゲティにも甘口がある。「喫茶マウンテン」には「甘口キウイスパ」「甘口イチゴスパ」などがあり、全国各地から「登頂」を目指す人が訪れる。
スイーツを食べ歩きしたい人にぴったりの甘いものガイド。
(誠文堂新光社 1760円)
「昭和喫茶に魅せられて、819軒」平山雄著
「昭和喫茶に魅せられて、819軒」平山雄著
平成も過ぎ、令和となって、「昭和は遠くなりにけり」という感もあるが、昭和の空気を漂わせている喫茶店も多い。
1915年ごろ創業の東京・文京区の「万定フルーツパーラー」には昔の映画に出てくるようなレジスターが鎮座する。創業時から使われているとか。
富山市の「珈琲駅ブルー・トレイン」は列車の客席のようなボックス席になっている。壁に設けられた車窓風のショーケースには鉄道模型のジオラマが飾られていて、鉄道ファンを引きつける。
客席の壁に水槽が埋め込まれていて、水族館にいるような気分になれるのは岡山市の「喫茶 軽食 キャッスル」。魚にエサをやるために水槽の外側の壁が外れるようになっているというユニークな設計だ。
ほかに、懐かしいジュークボックスが活躍している那覇市の「スナック喫茶スワン」や、四日市市の「喫茶サハリン」、徳島市の「純喫茶ブラジリア」など、海外旅行の気分になれるような店名の喫茶店も紹介。
(303BOOKS 1650円)
「京都 パンで巡るおいしい古民家」片岡れいこ著
「京都 パンで巡るおいしい古民家」片岡れいこ著
意外なことに京都の住民はパン好きで、消費量が日本一の年もあったという。ウナギの寝床のような町家を活用したパン屋やカフェも少なくない。
平安時代には内裏の一角だった地にあった、築100年の米屋をカフェにしたのが「綾綺殿」。米屋時代に使われていた煉瓦づくりの「おくどさん」も残っているし、テーブル席から五右衛門風呂が置かれた中庭が見える。人気メニューは、国産小麦と輸入小麦をブレンドした食パンのトーストやサンドイッチ。
築80年の銭湯をリノベーションしたのが「さらさ西陣」。入り口には立派な唐破風造りの屋根が鎮座して、店内の床下には浴槽が隠れているとか。午後のメニューの「洋梨とクルミのケーキ」が人気。
ほかに、大正時代の郵便局を利用したクリームティー専門の「TEA ROOM KIKI」や、天龍寺近くの茅葺き民家を利用した「パンとエスプレッソと嵐山庭園」など、風情のある店を紹介。
(メイツ出版 1848円)