(85)戯作はうまい酒と同じ
グラリ、きゃっ。
猪牙舟が傾ぎ、とせの手をとった重三郎、口をついたのは流行の戯れ歌だった。
「みぎひだり猪牙は揺れども懸念すな本屋の大志忘るることなし」
とせもすかさず応じた。
「高波に猪牙は揺れども懸念せず主の差し出す腕の頼もし」
舟は均衡…
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