左とん平さん追悼秘話 ハワイで「聖子ちゃんかわいいな」
「とん平さんを囲んで、合同取材をさせていただいたとき、『あ、聖子さんだ』との声が上がったんです。松田聖子さんといえば、言わずと知れたワイドショーの主役でしたから、とん平さんを取材していたマスコミも脱兎のごとく、聖子さんの元へとダッシュしてしまったんです。私も申し訳なく思いつつ、その一団のひとりでした。それで聖子さんを取材後、ふと後ろを振り返ると、とん平さんが立っている。『大変失礼しました』と頭を下げると、『聖子ちゃん、初めて見たよ。かわいかったなあ』って。マスコミについて走ってきて、聖子さんを見たって喜んでいるんです。とん平さんを置き去りにした我々マスコミへの文句はひとつもありませんでした」
■喜寿祝いも盛大に
今はなき新宿コマ劇場の大部屋の喜劇俳優出身。クレージーキャッツやドリフターズのコメディー映画で知られるようになり、1970年代の大ヒットドラマ「時間ですよ」などで名脇役としてのポジションを確立。カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールに輝いた今村昌平監督「楢山節考」(83年)にも出演している。「大岡越前」や「鬼平犯科帳」などの時代劇シリーズ、2時間ドラマでもお馴染みの名バイプレーヤーであった。