宇多田ヒカルのノンバイナリー公表は必要か? ジェンダー問題の息苦しさ

公開日: 更新日:

 言葉だけを配慮するとか、どちらか一方だけに何かを強いることではなく、縛りを緩め、偏見を少なくしていくためには、「寛容さ」が双方に必要であり、寛容さを求めることと、理解すべきだと強要することは全く違うものである。

■マジョリティーに対する新たな差別を生む可能性も

 主張次第では、逆にLGBTQやXジェンダーに属する人たちが、"どうせ理解してくれない""どうせ差別する"と、マジョリティーに対する「偏見」や「差別意識」を助長させてしまう可能性もある。大切なのはマジョリティーvsマイノリティーの対立構造をいかになくしていくかということだろう。

 マイノリティーに配慮するがあまり特別扱いし、さらに偏見を増やしてしまっては元も子もない。

 ジェンダー問題に関して10代~20代は割と柔軟な価値観を持っていると感じるが、その上の世代は、理解したいがどこから理解を始めるべきかわからないという人も存在している。

 意識改革のきっかけは大切だと感じるが、上げる声の数が増えれば増えるほど、本当に差別を受け苦しんでいる人の主張がただの承認欲求を満たすだけの主張にかき消されてしまう可能性もある。

 "寛容さ"はマイノリティー側とマジョリティー側、双方に必要な認識といえるかもしれない。

(文=水野詩子/ライター・コラムニスト)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」