(2)東映を辞めようと…高倉健さんの言葉「ケツまくるときは…」が胸を打った
「おまえも東映の看板を背負った俳優の一人なんだ。取材を受けることもあるだろう。そのとき、学生服はまずいな」
と言って、新品同様のスーツをポンと2着くださったのだ。健さんの思いやりに涙が出そうだった。もちろん、2着とも擦り切れるまで着て、今も捨てずに持っている。
私が一度は東映を辞める覚悟をしたときも、救いの手を差し伸べてくれたのは健さんだった。
私が主演した、ある映画の撮影をしているときのことだ。わずか2、3カット分の撮影延長を認めないスタッフと私が口論になったことがあった。そのスタッフは組合活動に熱心な人で、翌日は組合委員長がやってきて、私にクギを刺した。
「組合の規則に、俳優がいちいち文句を言うな」
私も言い返し、話が終わりそうにない。撮影の邪魔になってはまずいと思った私は委員長をスタジオの外に引っ張り出そうとした。ところが、運悪く委員長はドブに落ちてしまった。結果的には、これが大問題となり、組合内で「千葉をクビにしろ!」の大合唱となった。