(2)東映を辞めようと…高倉健さんの言葉「ケツまくるときは…」が胸を打った
健さんは自ら入れたコーヒーを差し出しながら私を諭した。
「俺だって頭にきて人を殴りたいと思うことはあるさ。でも、やったら負けだよ。おまえは俺にやめないと約束したんだから、これからは我慢しろ」
さらに健さんの胸を打つ言葉は続いた。
「おまえのやったことは間違っていないよ。同じ立場なら、俺も同じことをしたかもしれない。でもな、ケツまくるときはタイミングと場所が肝心なんだ。千葉、それだけは心に刻んでおけよ」
こうして健さんに助けてもらわなかったら、私はとっくに役者をやめていたに違いない。
(つづく)