著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

桂南光師匠は招待でコンサートに行くことはなく、必ず自分でチケットを買った

公開日: 更新日:

 こういう姿勢が、番組でも良いものは良い、悪いものは悪いと“忖度することなく言い切れる”源だと思います。

 プライベートでも良くしていただきましたが、仕事になれば「これは違うんちゃいまっか?」とハッキリ言い、納得されたことには一切文句を言わずにやってくださる、私にとってはまさに“理想の上司”。ご本人は「理想の上司は無理ですわ。好き嫌いがあって、わがままですから」と謙遜してらっしゃいましたが、その時の気分で態度がコロコロ変わる方を数多く見てきた者からすると、あそこまで筋の通った方はそうはいらっしゃいません。

 そんな南光師匠が「あの人にはかないませんわ」と言われたのが、引退された上岡龍太郎さん。街中でばったりお会いした際に「南光ちゃん、ごめん。NHK落語会見に行かれへんかってん。(入場)整理券が当たらんかったんや」と言われたので、南光師匠が「そんなん言うてくれはったらよろしかったのに」と言うと、「イチ素人がそんなことしたらいかん、僕が1人入れてもらうことで同じようにハガキ送ってる方が入られへんいうのは失礼。素人がそんなことしたいかん」といつもハガキで申し込んで当たった時だけ行かれているというのです。「やっぱり上岡さんはすごいわ。徹底したはるわ!」と感心されていたことがありましたが、その時、言葉には出しませんでしたが私は「南光師匠も徹底されていてすごいです」と心の中でつぶやいていました。

 上方落語界の重鎮のおひとりになられましたが、これからもお元気で、落語はもちろん、たくさんの趣味を堪能していただきたいと思います。

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