ゴージャス松野は今も現役プロレスラー 酒で死の淵を彷徨い「3.11を機に心を入れ替えた」

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ゴージャス松野さん(女優・沢田亜矢子の元夫/61歳)

 3組に1組が離婚するといわれ離婚は珍しくなくなったが、有名人の離婚ともなれば、今もマスコミに追いかけられる格好のネタ。ひと昔前はさらに過激で、1997年に起きた女優・沢田亜矢子とマネジャーの離婚騒動時も、ワイドショーなどで連日報道された。元夫はその後、“ゴージャス松野”のリングネームでプロレスラーに転向するなど話題を振りまき続けたが、松野さん、今、どうしているのか。

  ◇  ◇  ◇

 松野さんに会ったのは、JR福島駅そばのホテルのレストラン。松野さん、2003年に出身地・福島県にUターンしていたのだ。

「ここから歩いて10分のマンションで、1人暮らしをしています。両親はもう亡くなり、唯一のきょうだいの兄は東京にいます。パートナーは近くに住んでいて行き来はしていますが、籍は入れていません。前の結婚で嫌な思いをしたので、籍より、関係性の中身が大事だと思っているので」

 パートナーとは演歌歌手の田代純子さん。裁判で離婚確定後の2000年、歌手デビューした際にデュエットをした相手だ。

「今の私のメインの仕事は歌手活動とプロレス。彼女は公私ともにパートナーです。コロナでここ3年は、思うような活動はできず持続化給付金頼みの状況ですが、それまでは地元で毎年、『ゴージャスナイト』と銘打ったプロレスイベントや『きびたき歌謡祭』という歌のイベントを開催してきました。この2つを長く続けてがんばってきた姿勢を認めていただいたからか、今は周りの視線が温かくなりましたね」

 取材中も松野さんに気付いた女性に「かっこよくなったんじゃない?」と話しかけられ、写真撮影を求められていた。松野さん、人気者だ。

■“女性の敵”と後ろ指さされたことも…

「離婚騒動の頃は考えられませんでしたよね。あの頃は、“女性の敵”と後ろ指さされていましたから。日本中の人に顔を知られ、どこにも逃げ隠れできず、財産もないのにアルバイトもできず……。ほんと、メディアでみなさまが受けていた印象以上に、ダメージが大きかったんですよ」

 ホストクラブ勤務や整形、AV出演など話題を振りまいていたが、「いただいた仕事は何でもやるしかなかったから」。次第にストレスがたまって酒をあおり、うつ病を発症したという。

「それで実家に戻ったんですけど、2008年に肝不全で倒れ、一時、心肺停止に。それでも酒をやめられず、栄養失調で痩せて体力も落ち、プロレスどころか、普通の生活も送れないほどになっていました」

東日本大震災を契機に酒をやめる

 そんな松野さんを変えたのが、2011年の東日本大震災だった。

「家は半壊だったんですけど、体は無事だったので、パートナーの田代純子らと避難所に歌の慰問をしたんです。そこで、家族や家を失い、着の身着のままで避難されてる方々と会って話すうち、自分の人生を振り返り、『甘えていた。せっかく助かった命を大事にしなくてはいけない』と心を入れ替えました。以来、酒は一滴も飲んでいません」

 諦めかけていたプロレスに力をもらった。

「震災2カ月後に東京の後楽園ホールで、私の所属するプロレス団体・DDTの大会があり、運営会社の高木規社長が私をサプライズで呼んでくれたんです。わざわざ福島まで迎えの車を出してくれて。会場では、選手やお客さんのウエルカムの反応がすごくて感動し、もう一度頑張って復帰しよう、と心に誓いました」

 家の中で足踏みして体力をつけることから再スタート。肝機能などが改善したうえ、精神的にも安定し抗うつ薬も必要なくなっていった。

「生まれ変わった感じです。今は健康第一で早寝早起きし、栄養バランスを考えて自炊し、太らないよう気をつけています。週2日はジムに通って1回2.5~3時間かけて全身を鍛えています」

 おかげで、身長180センチで体重は60キロ弱。なかなか真似できることではない。

■直電取材でギャラ100万円のオファー

 さて、松野さんは大学卒業後、芸能事務所「東宝芸能」入社。女優・沢口靖子らのマネジャーや営業マンとして勤めた後、95年に12歳年上の沢田亜矢子と結婚。沢田の事務所社長兼マネジャーとして独立した。しかし、2年で離婚騒動に発展……。

「あるワイドショーからは、『生放送中に直電で取材を受けたら100万円払います』というオファーも。でも、裁判で身の潔白を証明するまでは騒動絡みの金は受け取らない、と決めていたので断りました。本当に大変でしたけど、騒動をマイナスでばかりは捉えていません。手を差し伸べてくれた方々との出会いがあり、私自身の知名度が上がり、子どもの頃に憧れたプロレスラーや歌手にもなれましたから」

 今はプロレスの試合に出場するため、月に1、2回、上京している。

「61歳で自分の息子ぐらいの年齢のレスラーと闘うので毎回、怖い。でも、この年で体を維持し立ち向かう姿を見ていただくことが、同世代を力づけると思っているので、生涯現役でいこうと思っています」

 6月26日、県下の「伊達市ふるさと会館」で、3年ぶりに「きびたき歌謡祭」を開催する。

(取材・文=中野裕子)

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